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税制改正のポイント

≪令和4年分より適用される主な改正≫


令和2年度の改正事項のうち、令和4年分の所得税から適用される主なもの

1. 雑所得を生ずべき業務に係る確定申告書の添付書類

  • その年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者で、その年の前々年分のその業務に係る収入金額が 1,000 万円を超えるものが確定申告書を提出する場合には、その雑所得に係るその年中の総収入金額及び必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書)を確定申告書に添付しなければならないこととなりました。
 

2. 事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等

  • その年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者等でその年の前々年分のその業務に係る収入金額が 300 万円を超えるものは、その業務に関して作成し、又は受領した請求書、領収書その他これらに類する書類(自己の作成したこれらの書類でその写しがあるものは、当該写しを含みます。)のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたものを保存しなければならないこととなりました。

令和4年度の改正事項のうち、令和4年分の所得税から適用される主なもの

1. 短期退職手当等に係る退職所得の金額の計算の見直し

  • 短期退職手当等に係る退職所得の区分が新設され、所得金額は、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次の金額とされます。

    イ 当該短期退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が300万円以下である場合…当該残額の2分の1に相当する金額
    ロ 上記イに掲げる場合以外の場合…150万円+{収入金額-(300万円+退職所得控除額)}

    ※「短期退職手当等」とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(勤続年数のうち、役員等以外の者としての勤続年数が5年以下であるものをいう。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当しないものをいいます。

2. 給与等の支給額が増加した場合の所得税額の特別控除(所得拡大促進税制)

  • 青色申告書を提出する中小事業者が、各年分において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるときは、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%(次に掲げる要件を満たす場合には、25%)相当額の特別税額控除を適用できることとされました。
    ただし、特別税額控除額については、調整前事業所得税額の20%相当額が限度とされます。

    イ 雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が 2.5%以上であること。
    ロ 次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。

    ①教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が 10%以上であること。
    ②その中小事業者が、その年の12月31日までにおいて中小企業経営強化法の認定を受けたものであり、その認定に係る経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われたことについて証明がされたものであること。

    ※「短期退職手当等」とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(勤続年数のうち、役員等以外の者としての勤続年数が5年以下であるものをいう。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当しないものをいいます。

3. セルフメディケーション税制の適用対象となる医薬品の範囲の見直し

  • ① 対象となる医薬品の範囲について、次の見直しがされています。

    イ その使用による医療保険療養給付費の適正化の効果が低いと認められるものが除外されました。ただし、令和4年1月1日から令和8年 12 月 31 日までの間の一定の日までの期間内に行った一般用医薬品等の購入の対価の支払については、この除外する措置は適用されません。
    ロ その製造販売の承認の申請に際して改正前の本特例の対象となる医薬品と同種の効能又は効果を有すると認められる医薬品(改正前の本特例の対象となる医薬品を除く。)のうち、その使用による医療保険療養給付費の適正化の効果が著しく高いと認められるものとして一定のものが追加されています。

    ② 本特例の適用を受ける者がその年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行ったことを明らかにする書類の確定申告書への添付又は提示は必要なくなり、その取組の名称その他一定の事項を特定一般用医薬品等購入費の明細書に記載しなければならないこととされました。
    その取組を行ったことを明らかにする書類を5年間保存することが義務付けられるとともに、税務署長から提示又は提出の求めがあったときは、提示又は提出をしなければなりません。

4. 税務署長等が行う処分通知等について

  • 税務署長等が行う処分通知等について、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により行うことができる処分通知等の範囲に次の処分通知等が追加されました。

    ① 期限後申告書又は修正申告書の提出があった場合に課される加算税の賦課決定通知書の送付
    ② 所得税の予定納税額等の通知(予定納税額の減額承認申請に対する処分に係る通知を含む。)

令和4年度の改正事項のうち、令和4年分の所得税から適用される主なもの

point01

住宅・土地税制

1. 住宅ローン控除の特例の延長等

  • 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について適用期限(令和4年12月31日)を令和7年12月31日まで4年延長されました。

    ①住宅の取得等をして令和4年から令和7年までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)、控除率及び控除期間は、次の通りとなります

    居住年 借入限度額 控除率 控除期間
    令和4・5年 3,000万円 0.7% 13年
    令和6・7年 2,000万円 10年

    ※上記は、住宅の取得等が居住用家屋の新築、居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得又は宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住用家屋の取得である場合の金額等であり、それ以外の場合(既存住宅の取得又は住宅の増改築等)における借入限度額は一律 2,000万円と、控除期間は一律10年とされました。

    ※認定住宅の場合の限度額等

    居住年 借入限度額 控除率 控除期間
    認定住宅 令和4・5年 5,000万円 0.7% 13年
    令和6・7年 4,500万円
    ZEH水準
    省エネ住宅
    令和4・5年 4,500万円
    令和6・7年 4,000万円
    省エネ水準
    適合住宅
    令和4・5年 4,000万円
    令和6・7年 3,500万円

    ②適用対象者の所得要件が、2,000万円以下に引き下げられました。

    ③個人が取得等をした床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋で、令和5年12月31日以前に建築確認を受けたものの新築又はその家屋で建築後使用されたことのないものの取得についても、適用することができます。 ただし、控除期間のうち、その年分の合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用できません。

    ④適用対象となる既存住宅の要件について、築年数要件が廃止され、 新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋とみなす。)であることとされました。

2. 認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除

  • 適用期限が令和5年12月31日まで2年延長され、対象住宅の新築等をして令和4年及び令和5年に居住の用に供した場合の対象住宅、標準的な性能強化費用に係る控除対象限度額及び控除率は以下の通りとされました。

    居住年 対象住宅 控除対象限度額 控除率
    令和4・5年 認定住宅
    ZEH水準省エネ住宅
    650万円 10%

3. 既存住宅を耐震改修した場合の所得税額の特別控除

  • 適用期限が令和5年12月31日まで2年延長され、耐震改修工事をした場合の標準的な工事費用の額に係る控除対象限度額及び控除率は、以下の通りとされました。

    工事完了年 控除対象限度額 控除率
    令和4・5年 250万円 10%

4. 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除

  • 適用期限が令和5年12月31日まで2年延長され、特定の改修工事をした場合の標準的な工事費用の額に係る控除対象限度額及び控除率は、以下の通りとされました。

    工事完了年 対象工事 控除対象限度額 控除率
    令和4・5年 バリアフリー改修工事 250万円 10%
    省エネ改修工事 250万円(※)
    三世代同居改修工事 250万円
    耐震改修工事又は省エネ改修工事
    と併せて行う耐久性向上改修工事
    250万円(※)
    耐震改修工事及び省エネ改修工事
    と併せて行う耐久性向上改修工事
    500万円(※)

    ※省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合の、100万円加算されます。

    また、既存住宅について一定の耐震改修工事や特定改修工事を行った場合には、一定の要件の下で、次に掲げる金額の合計額(その耐震改修工事又は対象工事に係る標準的な工事費用相当額の合計額と 1,000 万円からその金額(当該金額が控除対象限度額を超える場合には、当該控除対象限度額)を控除した金額のいずれか低い金額を限度)の5%に相当する金額を控除することができます。

    イ その耐震改修工事又は対象工事に係る標準的な工事費用相当額(控除対象限度額を超える部分に限る。)の合計額

    ロ その耐震改修工事又は対象工事と併せて行うその他の一定の工事に要した費用の金額(補助金等の交付がある場合には補助金等の額を控除した後の金額)の合計額


point01

その他の改正

1. 修正申告書等の記載事項の整備

  • 修正申告書及び更正請求書の記載事項から、その申告前又はその請求に係る更正前の課税標準等、納付すべき税額の計算上控除する金額及び還付金の額の計算の基礎となる税額を除外するほか、所要の整備が行われることとなりました。
    修正申告書については、第五表が廃止され、第一表に必要事項を記載することとなりました。

    この改正は、令和4年12月31日以後に課税期間が終了する国税(課税期間のない国税については、同日後にその納税義務が成立する国税)に係る修正申告書又は更正請求書について適用されます。

2.電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置の整備

  • 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、その保存義務者が質問検査権に基づく電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとされました。


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