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税制改正のポイント

≪令和6年分より適用される主な改正≫


令和1年度の改正事項で、令和6年分の所得税から適用される主なもの

1. 家事関連費等の必要経費不算入

  • 森林環境税及び森林環境税に係る延滞金の額が加えられました。
    令和6年1月1日以後に納付する森林環境税及び森林環境税に係る延滞金について適用されます。
 

令和5年度の改正のうち、令和6年分の所得税から適用される主なもの

1. 空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例

  • 次の措置を講じた上、その適用期限を4年延長する。

    (1)本特例の適用対象となる相続人が相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋(当該相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないものに限る。)の一定の譲渡又は当該被相続人居住用家屋とともにするその相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等(相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないものに限る。)の一定の譲渡をした場合において、その被相続人居住用家屋が譲渡の時から譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に次に掲げる場合に該当することとなったときは、本特例を適用することができることとする。

    イ 耐震基準に適合することとなった場合
    ロ その全部の取壊し若しくは除却がされ、又はその全部が滅失をした場合

    (2)相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人の数が3人以上である場合における特別控除額を2,000万円とする。
    (注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に行う被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用する。

2. 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)

  • 令和6年1月からの「特定非課税累積投資契約に係る非課税措置」を改組し、NISA制度の抜本的拡充・恒久化を行う。非課税保有期間を無期限化し、年間投資上限額が120万円のつみたて投資枠と、240万円の成長投資枠を設け、併用可能とする(生涯非課税限度額の総額1,800万円)。

3. 試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)

  • 研究開発税制の「一般型(一般試験研究費の額に係る税額控除制度)」について、以下の見直し等を行う。現行の税額控除率と控除税額の上限に係る試験研究費割合が10%超の場合の上乗せ特例について、適用期限を3年延長する。

    ■一般型に係る改正後の税額控除率等
    税額控除率
    ・増減試験研究費割合>12%の場合
    ⇒11.5%+(増減試験研究費割合-12%)×0.375
    ・増減試験研究費割合≦12%の場合
    ⇒11.5%-(12%-増減試験研究費割合)×0.25
    控除税額の上限
    〈加減算特例〉
    ・加算特例(増減試験研究費割合が4%を超える場合)※
    ⇒法人税額×(増減試験研究費割合-4%)×0.625%(5%を上限)を加算
    ・減算特例(増減試験研究費割合がマイナス4%を下回る場合)
    ⇒法人税額×(マイナスの増減試験研究費割合-4%)×0.625%(5%を上限)を減算

    研究開発税制の「中小企業技術基盤強化税制」について、以下の見直しを行う。現行の税額控除率と控除税額の上限に係る試験研究費割合が10%超の場合の上乗せ特例について、適用期限を3年延長する。

    ■中小企業技術基盤強化税制に係る改正後の税額控除率等
    税額控除率
    ・増減試験研究費割合>12%の場合
    ⇒12%+(増減試験研究費割合-12%)×0.375
    控除税額の上限
    ・増減試験研究費割合>12%の場合
    ⇒法人税額×10%を上乗せ

    その他、「試験研究費の範囲」や「OI型(特別試験研究費の額に係る税額控除制度)」について、一定の改正が行われます。

令和6年度の改正事項

1. 定額による所得税額の特別控除

  • (1)居住者の所得税額から、特別控除の額を控除する。ただし、その者の令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である場合に限ります。

    (2)特別控除の額は、次の金額の合計額とする。ただし、その合計額がその者の所得税額を超える場合には、所得税額を限度とする。

    1 本人3万円
    2 同一生計配偶者又は扶養親族(居住者に該当する者に限る。以下「同一生計配偶者等」という。)
    1人につき3万円

    (3)特別控除の実施方法は、次による。
    1給与所得者に係る特別控除の額の控除
    2公的年金等の受給者に係る特別控除の額の控除
    3事業所得者等に係る特別控除の額の控除
    イ 令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額を控除する。

    ロ 特別控除の額に相当する金額のうち、第1期分予定納税額から控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、第2期分予定納税額(11月)から控除する。

    ハ 予定納税額の減額の承認の申請により、第1期分予定納税額及び第2期分予定納税額について、同一生計配偶者等に係る特別控除の額に相当する金額の控除の適用を受けることができることとする。

    ニ 上記ハの措置に伴い、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額の納期を令和6年7月1日から9月30日までの期間(現行:同年7月1日から同月31日までの期間)とするとともに、同年6月30日の現況に係る予定納税額の減額の承認の申請の期限を同年7月31日(現行:同月15日)とする。

    ホ 令和6年分の所得税に係る確定申告書を提出する事業所得者等は、その提出の際に所得税額から特別控除の額を控除する。

2. ストックオプションの利便性向上

  • スタートアップのレイター期の人材確保を主な目的として、権利行使価額の年間限度額を見直す。現行では、一律で1,200万円となっているところ、改正後は、設立年数や上場・非上場の違いによって最大3,600万円まで引き上げる。
    設立年数が5年未満の株式会社が付与する場合は2,400万円、設立年数が5年以上20年未満で、非上場会社又は上場後5年未満の上場会社が付与する場合は3,600万円が上限となる。

3. 住宅ローン控除の拡充

  • (1)住宅ローン控除について、令和6年限りの措置として、子育て世帯等(年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者)に対し、借入限度額を、認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円へと上乗せする。
    また、床面積要件を緩和する。

    (2)東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例についても、子育て特例対象個人である住宅被災者について(1)と同様に措置が講ずることとされます。

4. 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除

  • (1)子育て特例対象個人が、その者の所有する居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事をして、当該居住用の家屋を令和6年4月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合を適用対象に追加し、その子育て対応改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税の額から控除できることとする。
    上記の税額控除は、その年分の合計所得金額が2,000万円を超える場合には適用しない。

    (2)既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する。

    本税額控除の適用対象者の合計所得金額要件を2,000万円以下(現行:3,000万円以下)に引き下げる。
    本税額控除の適用対象となる省エネ改修工事のうち省エネ設備の取替え又は取付け工事について、エアコンディショナーに係る基準エネルギー消費効率の引上げに伴い、当該工事の対象設備となるエアコンディショナーの省エネルギー基準達成率を107%以上(現行:114%以上)に変更する。

5. 認定住宅等の新築等をした場合の所得税額の特別控除

  • 適用対象者の合計所得金額要件を2,000万円以下(現行:3,000万円以下)に引き下げた上、その適用期限を2年延長する。

6. 給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度

  • (1)全法人向けの措置について、一定の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。

    (2)青色申告書を提出する者で常時使用する従業員の数が2,000人以下であるものが、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が3%以上であるときは、控除対象雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる措置を加える。
    一定の場合には、控除率が加算される措置が設けられる。

    (3)中小企業向けの措置について、次の見直しを行い、控除限度超過額は5年間の繰越しができることとした上、その適用期限を3年延長する。

    イ 教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置について、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が5%以上であり、かつ、教育訓練費の額が雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合に税額控除率に10%を加算する措置とする。
    ロ 当期がプラチナくるみん認定若しくはプラチナえるぼし認定を受けている事業年度又はくるみん認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を受けた事業年度である場合に税額控除率に5%を加算する措置を加える。

    (注)繰越税額控除制度は、繰越税額控除をする事業年度において雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超える場合に限り、適用できることとする。

7. 特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例

  • 経営セーフティ共済の契約を解除し、再度契約して掛金を損金算入する事例等が見受けられることから、解除があった後に再契約した場合、解除日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する掛金については、同特例の適用ができないこととする(所得税も同様)。令和6年10月1日以後の契約の解除について適用する。

8. 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度

  • 産業競争力強化法の改正を前提に、特別償却率及び税額控除率を引き上げる措置について、一定の要件の全てを満たすことにつき主務大臣の確認を受けた場合を対象に加え、その対象となる機械装置及び器具備品の税額控除率を6%(現行:5%)とする。
    特別償却率及び税額控除率を引き上げる措置の適用要件のうち労働生産性の伸び率に係る要件について、その労働生産性の伸び率を5%以上(現行:4%以上)に引き上げる。
    (注) 中小企業基本法の中小企業者については、現行どおりとする。
    令和6年4月1日以後に取得する特定事業用機械等について適用する。

9. 生産方式革新実施計画の認定を受けた農業者等が生産方式革新事業活動用資産等の取得等をした場合の特別償却など

  • 農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(仮称)の制定を前提に、青色申告書を提出する者で同法の生産方式革新実施計画(仮称)の認定を受けた農業者等が、同法の施行の日から令和9年3月31日までの間に、一定の機械その他の減価償却資産のうち一定の基準に適合するもの(以下「生産方式革新事業活動用資産等」という。)の取得等をして、その法人の生産方式革新事業活動等の用に供した場合には、その取得価額に、一定の償却率を乗じた金額の特別償却ができることとする。

    その他各種特別償却又は特別控除の規定に、要件の変更や上限額の引き上げ等の拡充措置が講じられます。

消費税関係の改正

1. 自販機特例等の帳簿記載要件の緩和

  • 事業者の事務に即し、自動販売機特例及び回収特例(3万円未満の取引に限る)については住所又は所在地の帳簿記載を不要とする。改正前の令和5年10月1日以後に行われる課税仕入れについても、運用上、帳簿への住所等の記載は求めない。

2. 消費税経理処理方法の見直し

  • 免税事業者等のインボイス発行事業者以外の者からの仕入れは、原則、仮払消費税等の額は生じないが、簡易課税制度又は2割特例制度を適用する事業者については継続適用を条件として、支払対価の額に110分の10(軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には108分の8)を乗じた金額を仮払消費税等の額として計上できることを明確化等するとした。
    つまり、売上に係る消費税で納税額を計算する事業者は、仕入れ先がインボイス発行事業者か否か把握する必要がなくなります。

3. 国外事業者に係る事業者免税点制度の特例の適用の見直し等

  • (1)特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例について、課税売上高に代わり適用可能とされている給与支払額による判定の対象から国外事業者を除外する。

    (2)資本金1,000万円以上の新設法人に対する納税義務の免除の特例について、外国法人は基準期間を有する場合であっても、国内における事業の開始時に本特例の適用の判定を行う。

    (3)資本金1,000万円未満の特定新規設立法人に対する納税義務の免除の特例について、本特例の対象となる特定新規設立法人の範囲に、その事業者の国外分を含む収入金額が50億円超である者が直接又は間接に支配する法人を設立した場合のその法人を加えるほか、上記2と同様の措置を講ずる。
    (注)上記の改正は、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用する。

    (4)簡易課税制度等の見直し
    その課税期間の初日において所得税法又は法人税法上の恒久的施設を有しない国外事業者については、簡易課税制度の適用を認めないこととする。また、適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置の適用についても同様とする。
    (注)上記の改正は、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用する。
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